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【症例】大腿部の血管周皮腫に対して辺縁切除を実施した犬の1例 No.2

症例紹介cross animal cancer center
case report

大腿部の血管周皮腫に対して辺縁切除を実施した犬の1例 No.2

<獣医師>

腫瘍科 池田 雄太

<はじめに>

軟部組織肉腫(STS)の中で血管周皮腫は比較的発生率の高い腫瘍である。その他のSTSである線維肉腫、神経鞘腫、粘液肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫などに比べると血管周皮腫は局所再発率が低い傾向にある。今回ダックスフントの大腿部に発生した巨大な血管周皮腫に対して腫瘍の辺縁切除を実施し、良好に経過している症例を報告する。

<症例>

ミニチュアダックスフント 16歳 メス避妊済み
かかりつけの動物病院で、軟部組織肉腫うたがいと診断されたが、高齢であり麻酔のリスクなどもあるため手術は困難と診断された。しかしその後も増大し歩行に支障が出てきたため、セカンドオピニオンを求め受診された。(図1)

軟部組織肉腫

図1(腫瘤の外貌)

 

<診断>

体重6.3kg 体温38.0℃ 心拍数180回/分 呼吸数30回/分
一般状態   :良好
一般身体検査 :右大腿部に0.6㎝の皮下腫瘤あり。腫瘤は可動性があり、周囲との固着はなかった。
体表リンパ節:腫大なし
レントゲン検査:特記すべき異常所見なし
腹部超音波検査:特記すべき異常所見なし
血液検査   :異常所見なし

診断:軟部組織肉腫

<治療>

第21病日 手術を実施した。手術は「腫瘍辺縁切除」を選択した。麻酔に問題はなく、覚醒も良好であった。計画通り翌日退院となった。
術後の病理診断は血管周皮腫 グレードⅠであった。

 

術後7日目の外貌

 

<考察>

血管周皮腫などの軟部組織肉腫は組織学的グレードにより、1、2、3の分類があり、3が最も高悪性度である。3の場合は遠隔転移率は約40%と高いが1、2の場合は7~15%とそれほど高くはない。また局所再発率が高い傾向があり、3の場合は辺縁切除だと80%再発するという報告もある。しかし1、2の場合は辺縁切除でも10%しか再発しなかったという報告もある。 
以前の症例報告と同様に、今回のような巨大で皮膚縫合が困難な場合、根治的切除には断脚が必要であるが、16歳という高齢犬であり、また過度の肥満から断脚を実施した場合の後の歩行困難も予想されたため、あえて「辺縁切除」を選択した。今後長期的に考えると再発のリスクはあるが、それでも1~2年間は再発なく、良好に生活できる可能性が高い。腫瘍外科では腫瘍の性質や症例の年齢を考慮し、サージカルドーズを決定するべきである。

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